反貧困世直し大集会2009 「ちゃんとやるよね!?新政権」

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反貧困世直し大集会2009 開会あいさつ 反貧困ネットワーク代表 宇都宮健児

 みなさん、こんにちは! 反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児です。みなさんご承知かと思いますが、今日、10月17日は国際反貧困デーです。

 私たちは去年は10月19日に「反貧困世直しイッキ大集会」を明治公園で開きました。去年の集会は、7月からの反貧困全国キャラバンのゴールとしてのイベントでもありました。この中には、反貧困全国キャラバンに参加していただいた方もたくさんいらっしゃるかと思いますけれども、去年の反貧困キャラバンは、日本各地に反貧困のタネを蒔きました。そして、いま、少しずつ芽が出てきています。私たちが把握しているところによりますと、全国の18都道府県で反貧困ネットワークが結成されたり、あるいは結成予定になっています。

  昨日、初めて各地の反貧困ネットワークが顔を合わせる交流会がありました。13の都道府県から集まりまして、それぞれのネットワークの活動状況について報告しました。また、これからどういう形で、力を合わせて貧困のない社会を作っていくかということについて、意見交換をしました。非常によい交流会になったと思います。引き続き、まだ反貧困ネットワークのできていないところにもネットワークを広げていけたらと思っています。

  今年は年末年始の派遣村で年が明けました。この年越し派遣村の取り組みは、日本の広がる貧困を一気に顕在化させて、大きな社会問題として貧困問題を日本社会に突きつけたと思います。年越し派遣村の活動によって、その後の歴史的な政権交代の流れを作ったのではないかと思っております。新しい政権ができて1か月が経過しております。しかしながら、雇用情勢は悪化の一途をたどっております。今日は多くのホームレスの支援団体の方も参加していると思いますけれども、炊き出しに並ぶ人の数は昨年の倍近くになっております。このまま推移していきますと、昨年以上の危機的な状況になります。私たちは昨年のような年越し派遣村が出現しないように、政府が緊急の対策をとることを願っております。

  みなさんもご承知のとおり、反貧困ネットワークの事務局長の湯浅誠さんが、政府の国家戦略室の政策参与として起用されることになりました。私は、新政権が湯浅さんのこれまでの経験や力量を存分に生かして、去年のような年越し派遣村を用意しなくてもいいように、緊急の年末年始の対策をぜひとっていただきたい、そのように願っております。

 私たちは湯浅さんを送り出しましたけれども、引き続き、貧困のない社会を目指して、貧困当事者と寄り添いながら、貧困当事者の声を聞きながら、活動を継続していく決意です。

  それから、今日の集会にはゲストの方が参加されております。アフリカから、反貧困の活動をされているギュスターブ・アッサーさん、そして、スペシャルゲストとして加藤登紀子さんにも参加していただいております。

  今日の集会が、世界の貧困と日本の貧困を考える有意義な集会となることを期待しております。最後までお付き合いください。そして、一緒に、貧困のない社会を作り上げましょう。よろしくお願いします。

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母子加算・派遣法・障害者自立支援法・後期高齢者医療制度…
注目される各分野からの当事者発言

母子加算

川口ゆう子さん(仮名)。シングルマザー、生活保護受給者。
母子加算の一刻も早い復活を求めます。

川口さん:みなさん、こんにちは。しんぐるまざあず・ふぉーらむ会員の川口ゆう子です。ひとり親になってよかったことは、有意義な人生を送るか、無益な人生を送るか、どちらかを自分で選ぶことができることです。今回の母子加算の廃止という政策は、制度の見直しということではありますが、長く続いた制度は制度疲労を起こすので、そのことについては賛否があってもいいと思います。しかし、母子加算は本来、家計のマイナスを埋めるためにあったのです。段階的ではありますが、今年の4月に完全に廃止になりました。かといって、段階的に家計が苦しくなっていったのではなく、元々ギリギリの生活をしていたので、生活がより困窮し、節約できる部分は、食費を切りつめることしかできません。量、質、回数を減らしていくのですが、親があまり食べないでいると子どもが気を遣い、あまり食べてくれないのです。日に日にやせていく子どもを見ているのは貧困よりも辛いです。飽食の時代なのに、食卓は貧しく、三食まともに食べていくことすらできないのです。厳しい節約の上に、さらにガマンを重ねるのです。この貧しさは、もはや個人の責任ではないと思います。多くは望みません。せめて欠けた食の部分を補うためにも、早急に母子加算の復活を望みます。経済的な自立ができていないというだけで、すべてをあきらめなければいけないのでしょうか。子どもの幸せを第一に考えた自立支援策として、母子加算を復活させてください。廃止された母子加算復活までの家計は、私には非常に先が読める展開でした。先手、後手、そして最後にチェックメイトで立場の弱い人が勝つという信念の下に、発言をしてきました。経済大国といわれる日本では、貧困が見えません。見えない貧困の中でひとり親の家庭が瀕死の状態になっているいま、「助けてください」と言わないことのほうが敗北なのではありませんか? 以上、発言を終わります。

赤石:こんにちは。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。いま川口さんの発言を聞いて、みなさん、どう思いましたか? ちょっとだけ補足させてください。いま日本にシングルマザー世帯は120万世帯います。そのうちの約10万世帯が生活保護を受けているのですが母子加算を削られて困っています。新政権が母子加算の復活をマニフェストに大きく掲げてくれました。ところが、母子加算を復活する代わりに高校の修学支援費を、どうも削ってしまうというような話があるのですが、そうではなくて、一日も早い母子加算の完全な復活を望んでいます。そして、それだけではありません。母子家庭の100万世帯が受給している児童扶養手当も、前政権で、5年間受給後は半額に削減という法律がもう通ってしまっています。これも、父子家庭に支給するとともに、復活してほしい、元に戻してほしい、それが切なる願いです。がんばってください、新政権。ちゃんとやるのよね?

生活保護の母子加算 廃止と復活の経緯

 生活保護は母子世帯の約10万世帯が受給する。生活保護費の中で、母子加算は母子(ひとり親)の特別な経費として認められたもの。1級地で約2万3000円が支給されていた。しかし、消費水準が生活保護受給世帯のほうがそのほかの母子世帯よりも高いことを理由に、母子加算が廃止の方向となった。

 2005年から段階的に母子加算が廃止され、2009年3月末で全廃された。 全国各地で母子加算と老齢加算の廃止は生存権を脅かすと提訴された。 2009年民主党は「母子加算復活」をマニフェストに掲げて衆議院議員選挙をたたかい勝利、新政権は母子加算復活をすぐさま実施するかと思われたが、高校修学費や小中学校の学習支援費を代わりに削減するなどさまざまな代替案が出た。結局10月23日の閣議決定により09年度12月から、高校修学費は削減しないということで復活。ただし2010年度については未定。

母子世帯数120万世帯 父子世帯17万世帯(2003)

母子世帯数は第2次世界大戦による「戦争未亡人」=死別母子家庭が多数だった時期を経て、1960年代からは離婚の増加とともに増加してきた。

母子、父子世帯の年収

母子世帯の平均年収は213万円(手当、年金、養育費、仕送り込み)(2006年) 全体の平均の4割以下。

児童扶養手当

約100万世帯が受給する命綱のような手当
対象:離婚母子家庭、非婚母子家庭、父障害家庭
父子家庭は対象外
支給額:全部支給4万1720円
(子ども2人5000円加算、3人3000円加算)
年収130万円までが全部支給、その後所得増とともに減額 養育費を所得に算入し手当額を減額

離婚増とともに制度が削減されてきた
2002年 所得による減額制導入代わりに就労支援を導入、法改訂(5年後の削減導入)
2007年 受給開始後5年で削減をストップ(一定の手続きをすると継続支給)
2008年4月 削減実施、ただし手続きすれば継続だが未手続き者が続出

母子世帯の就労

就労率84.5%(先進国の中で3番目に高い)にもかかわらず、就労収入は低い。近年非正規化が進む。

母子世帯の就労収入 171万円
常用雇用 257万円
臨時・パート 113万円
ひとり親世帯の貧困率

54.3%

労働者派遣法

熊谷義則さん(フリーター全般労働組合)。栃木いすゞ自動車で、2008年末、労働契約の中途解約で派遣切りされました。

熊谷:こんにちは、熊谷です。去年の8月に青森から栃木のいすゞ自動車に派遣で来ました。謳い文句は「着替え一つで来てください」と。テレビとか冷蔵庫とか、いろいろ揃えてありますので、ということだったので、本当に着替えだけ、ボストンバッグ一つで来ました。そうしたら、11月中ごろに、紙一枚で派遣切り。もうさようなら、ということで、12月27日までに派遣の寮から出ていけと。出ていくときもボストンバッグ一つです。

 運よく、栃木市の雇用促進住宅、国のほうでやってくれたんですけれど、そちらのほうに半年間、入りました。でも仕事がなく、家賃も滞納してしまい、もうどうしようもなくて。ある雑誌の取材の人が組合がありますよ、と紹介してくれました。東京に来て相談して、東京のほうで生活保護の申請をしたんですけど、栃木のほうの家賃が、入るときは簡単だったんですけど、出ていくときには畳を替えるお金とか、いろいろ請求されるんですよ。それは月々の生活保護の中から1万ずつ支払いますということでサインしました。

 新宿に来て仕事を探しました。職安のほうで、いろいろ資格をとるコースがあって、それを申し込みました。そしたら、新宿に住んで1年以上たってなければ無料で資格はとれません、と言われたので、結局、何の資格もとれずに、仕事もなく、生活保護に頼っています。

 新政権になって、やっぱり少しは期待しています。でも、まだ2ヶ月です。できるだけ早く派遣法を改正してもらいたい。もう一つ聞きたいのは、なんで1年以上新宿に住んでいなければ資格をとれないのかということです。やる気があるのに、1年待たされる。失業保険も、前の会社から次の会社まで1年以上あけると、職業安定所のほうで免除があるんですけれども、それも受けられないんです。新政権にはいろいろ期待しています。みなさんもわからないことは多分いろいろあると思います。なんでこんなに理不尽な思いをするのかわかりません。本当に、新政権、よろしくお願いします。

熊谷さんのその後……熊谷さんと派遣会社との雇用契約は2009年の3月までだったのですが、期間途中の2008年の12月に「派遣切り」で解雇されました。契約中途解除の保障などを求めて交渉を申し入れたところ、スムーズに交渉が進み、納得のいく水準で解決しました。現在、熊谷さんは音信普通だった親族に連絡が取れ、地元に戻られています。(フリーター全般労働組合 執行委員 清水直子)

※労働者派遣法の問題点については、「派遣法改正まったなし 10.29日比谷大集会アピール」をご覧ください。

障害者自立支援法

 障害施策の「制度の谷間」にある骨髄性血小板増多症の当事者(33歳女性)と多発性肝嚢胞の当事者(46歳女性)が発言されます。障害者自立支援法が廃止され、新制度できるまでのあいだの緊急救済措置を求めます。

説明:山本創(難病の会)
山本:難病の会の山本創と申します。今日は当事者の方に来ていただきました。右手の方が、福島県からいらしていただいたSさんです。多発性嚢胞(のうほう)肝という肝臓の障害をおもちの方です。左手の方は、関東からいらしていただいたハスカワさんです。障害者自立支援法、本当に長い間、私たちは苦しめられてきました。ようやく政権交代で、障害者自立支援法を廃止するとということを明言していただきました。しかし、私たち、待っている当事者たちにどんな制度が行きとどくのか、それを確かめるまでは安心できないと思っています。障害者自立支援法は、たとえば腎臓の方は制度の対象になりますが、肝臓の方は対象となりません。膵臓に障害をもっている方も同じです。HIVの方は対象となりますが、同じ病気でも、今日来ていただいた血液の難病をおもちの方は対象となりません。こんな臓器や疾病別で対象となる人・ならない人が選り分けられているんですね。そのような制度は絶対に残してはいけない、制度の谷間を生まない制度をぜひ作っていただきたいと思っています。それでは、発言をお願いしたいと思います。

Sさん:私の病気は肝臓に水たまりがたくさん増えつづけ、それぞれがどんどん大きくなる難病です。腹部が膨張して、胃の圧迫・脚のしびれ・冷汗、おなかが重苦しくて、腰痛・全身脱力感、肺と心臓が圧迫されて、歩くと息苦しい、などの症状があります。おなかの出っぱりで足下が見えないため、よくつまづきます。昨年、肝臓切除の大手術を受けました。その後、腹水がたまり、さらに重苦しくなりました。利尿剤を服用していても、約6リットルたまっています。そして、腹水の圧力で腹壁瘢痕(はんこん)ヘルニア[注:腹の壁の弱い部分から、腹のなかの内臓が腹膜に包まれたまま脱出する状態]になりました。日に日に肥大し、ある日激痛が走り、腸閉塞を起こして、この夏2か月、8回目の入院をしました。その後には、おなかの皮膚が裂けて、腹水が漏れ出して、潰瘍ができました。前かがみになるたびに、ヘルニアがおなかに食い込んで、痛みに襲われます。徐々に寄ってくる進行が怖くてなりません。私はこの格差ある制度の谷間におかれています。障害者自立支援制度は、なぜ臓器で区分け、検査値で線引きされるのでしょうか。なぜ内部障害の重症度を測る分類がないのでしょうか。数値に表れていなくても、体に障害があり、介助を必要とする患者すべてを救済すべきです。そぐわない基準で、入口規制をしないでください。行政は目をそらさないでください。私たちのいまの生活実態としっかり向き合って、丁寧に聞きとりをしながら、対象者かどうかを決めてください。どうか早急に生きる救いの手を差しのべてください。ありがとうございました。

山本:ありがとうございます。では、続きましてハスカワさん、お願いします。

ハスカワ:私は19歳後半から骨髄性血小板増多症という病気になりましたが、障害認定に血液の基準がなく、対象外で、国の難病指定にも入っていません。いま33歳になりましたが、私は血小板の数値よりも、身体の症状が重く出ます。出血すると血が止まりにくく、塊が多いので、生理は毎度出血過多になり、20代半ばからは、生理はじめから最低4日は完全に寝込む生活になりました。現在、血小板の増加を減らす抗がん剤と、血液の流れをよくする薬しかなく、完治しません。仕事をはじめたころは、1日のうちに最低2こ仕事をかけもちし、もちろん若いので遊びもしました。しかし、病気になってから、思うように体がいうことをきかなくなり、20歳からは、いままでのやり方が全然だめになりました。20歳過ぎから30まで、一番苦しめられた症状は、ひどいだるさと激痛でした。この激痛というのは、たとえば、1日仕事に出て、家に帰って寝た次の日に、必ず出ていた症状でした。痛みは全身のひどい筋肉痛という感じです。この痛みは絶対に2日間続き、3日目はひどいだるさだけ残るという毎日でした。なので3日に1度しか外出できないので、仕事や用事もこの割合になり、出かけるときは朝一から出て、次の日の朝に帰るという過酷なスケジュールをしていました。狭い場所でのたばこの煙がまったくだめになってしまい、10分もいると脾臓が痛くなって、一歩も動けなくなるので、夜の仕事もできなくなりました。結局は、メインになっていた飲食系の仕事も体がついていかず、働けなくなってしまいました。私の生活はますます追い込められました。私は薬剤等にもかなり弱く、お風呂掃除も完全装備でしますが、薬剤がついていると寝込む日が延びてしまいます。掃除後、すぐにでも寝たいのですが、薬剤を洗い流すためにがんばってシャワーをします。しかし、シャワーやお風呂に入ると、疲れが増し、体調が悪化します。掃除の支援が月1回でもあると助かります。寝込んでいるとき以外は自炊をしていますが、外出を頻繁にできないので、買い物支援があると助かります。生理のときは、日にちがずれると買い込みができないときがよくあるので、特に嬉しいです。私が望むことは、とりあえず何かひとつでもこの状況が変わってほしいと思っています。

山本:ありがとうございます。このような状態であるにもかかわらず、まったく何の制度もないまま、制度の谷間におかれている方々がいます。ぜひとも、どんな形でもいいので、一刻も早く手を差しのべてください。よろしくお願いします。

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介護等の「制度の谷間」の日本の現状

障害者自立支援法の身体障害

 定義で身体障害者福祉法の対象と規定してあるので、下記の方が漏れている。一方、精神障害、知的障害については、手帳要件がないにもかかわらず、身体障害だけ手帳要件が設けられ、障害程度区分とあわせて、二重に入口規制されている。

障害者手帳(身体障害者福祉法等)で対象外とされている障害

①器別で排除されている障害
すい臓、胆道、肝臓等の臓器に起因する障害は対象外(日本は腎臓、心臓等だけに限定、新たに肝臓が追加されようとしているが、対象が狭く、発言された方は対象外になる模様)
②疾患ごとで排除されている障害
血液・リンパ、免疫系(HIVを除く)の障害は対象外
※日本は免疫障害をHIVだけに限定。膠原病等の他の自己免疫性疾患は対象外。
③代謝及び酵素系の障害も対象外
④皮膚障害、審美に関わる障害も対象外
⑤活動障害は認められていても原因となる機能障害の違いで排除されている障害
1)2km歩行できるかどうかについては、筋肉、骨格、神経に原因がみとめられる機能障害がある人だけに限定。血液、免疫、臓器等の障害が理由で2km歩行できない人は対象外としている。
2)・1日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感及び易疲労が月に7日以上ある、
・月に7日以上の不定の発熱(摂氏38度以上)が2か月以上続く
上記の症状が継続して障害とされるのはHIVだけ。血液・リンパ、免疫等を原因として同じように社会的制限が認められていても対象外となる。
⑥デシベル等で計られる難聴

介護保険

65歳以上で若年者は対象とならず、40歳以上の特定疾病も15疾病に限られる

難病居宅生活支援事業

 難治性疾患克服研究事業130疾患プラス慢性リウマチに限られる。又、この事業を実施している自治体も全体の35%でしかないために、住む地域によって受けられる人、受けられない人が出てしまう。

 どの制度の対象にもならず、若年で難病等を発症し、生活を続けなければならない人が「制度の谷間」に放置されています。特に、1人暮らしの若年者は生存権すら危うい状態。「一人、一人の命を大切にする」政治の実現をめざすのであれば、2度と北九州や、大阪市でおきた慢性疾患をもつ若年者の孤独死を繰り返さない緊急対策が必要。発言をいただいた方を含め、積雪のある地域では、この冬を越せるかどうかも含め喫緊の課題となっている。

 民主党マニュフェスト、与党3党合意では制度の谷間のない制度をつくることが明記されている。2010年度予算、補正予算等での緊急の対応が必要。

 「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくる。

後期高齢者医療制度

 大山正夫さん(患者の権利オンブズマン東京)。現在82歳、若い頃結核で長期間療養生活、その後も胆石、がんの手術を受け、今は糖尿病歴25年でインスリン治療中。これら患者の経験から、ボランティアで患者の苦情相談を受付け、裁判でなしに双方の誠意ある話し合いを通じて解決するためのサポートを行っています。

大山さん:大山と申します。私はいま82歳。昭和20年の数え年19歳のときに召集令状をもらいました。そして戦後の過酷な状況の中で一生懸命働いて、戦後の復興のために努力をしてきました。その過労がたたって肺結核で5年間療養生活を余儀なくされました。そのあとも、胆石だとかがんの手術をして、現在は糖尿病歴25年で、インスリンの注射を毎日4回ずつやっています。それでまあ、生きているわけですが、これはひとえに日本の医療保険制度のおかげで今日まで生きてこられたと思います。

 昔は、健保の本人は10割給付でした。ですから、全くお金の心配なしに医療にかかれました。保険料を納めているのだから当然です。ところが、初診のときに100円出せということになって、時代と共にどんどんそれが改悪されて、いまではすべて3割負担ということになっています。では、老人の方はどうか。これは昭和44年の美濃部都政のときに、東京では老人医療は無料化になりました。その4年後に、全国で老人医療が無料化になりました。いまから36年前のことです。36年前は、老人医療は無料なんです。それが10年続きました。

  ところが、自民党政権の老人保健法改悪で昭和58年から有料化になり、さらに国民の反対を押し切って後期高齢者医療制度が昨年から施行されました。これはなんと法律の目的の第1条に「医療費の適正化」を堂々と謳ってあるわけですね。そして第2章に医療費適正化計画を立てろと事細かに指示しています。適正化というのは削減ということですよね、官僚用語で。だから、この後期高齢者医療の目的は医療費の削減です。そのために何をやったかというと、75歳以上は健保の被扶養者を含めすべてひっくるめて別枠にして、他の保険と隔離した。隔離をしたわけですから、他の法律と関係なしに、いくらでも悪いことができる。そういう性格の法律ですが、保険料、診療報酬、滞納者問題など、事実そうなっています。ですから、こんな悪い法律は即刻に廃止すべきです。

  報道によると大臣は「後期高齢者の廃止問題は、多少時間がかかる」みたいなことを言っているようですが、これは公約と違います。しかし万一法律上廃止が多少延びるとしても、直ちにこの後期高齢者医療制度が廃止されたと同じ状態を作るべきと思います。そのためには、保険料が上がるのはやめてもらいたい。それから、診療報酬も別枠にするのはやめて、他の保険と一緒にしてもらいたい。それから、保険料滞納者に資格証明書を出して受診の際に全額を支払えとなっていますが、それもやめてもらいたい。いまやっている保険料の軽減措置は続けてもらいたい。少なくともそういうことは即刻実現してもらいたいと思います。

  この差別と隔離の後期高齢者医療制度は可及的速やかに廃止すべき。そういうことを強く訴えます。

増え続ける保険料(保団連試算)

高齢者の医療の確保に関する法律

後期高齢者医療制度の根拠となる「高齢者の医療の確保に関する法律」は、老人保健法改定の形式をとりましたが、事実上新しい法律です。2008年4月1日に施行されました。

老人保健法第1条(目的) 「健康の保持」「疫病の予防、治療、機能訓練等の保健事業」 →削除
高齢者医療確保法 第1条(目的) 「医療費の適正化の推進」 「国民の共同連帯の理念」 →新設
  第3条(国の責務) 「医療に要する適正化を図るための取組みが円滑に実施され」 →新設
  第8条 「医療費適正化を推進するための計画を定める」 →新設
アフリカのNGO活動家ギュスターブ・アッサーさん (ソーシャル・ウォッチ・ベナン)

 西アフリカのベナン共和国で、貧困をなくすためのキャンペーンや政策提言、農村開発などに取り組んでいます。2008年には、日本政府などが開催した「アフリカ開発会議」(TICAD)のプロセスにかかわり、日本のアフリカ政策が真にアフリカの貧困を解消するものとなるよう、積極的に政策提言を行ってきました。

アッサーさん:コンニチハ。私はギュスターブ・アッサーです。ベナンという国からやってきました。今日はみなさんの前でアフリカの代表としてお話させていただきます。今日のこの集会の中で話す機会をいただいた反貧困ネットワークの方々にお礼を言いたいと思います。

 今日私がここで聞いたみなさんの発言を聞き、日本にも貧困という問題が本当にあるのだということを確信しました。外から見ている日本のイメージですと、貧困問題というのはないのではないかと思っていましたが、アフリカにもある問題が、ここ日本にも存在しているということに気づかされました。アフリカでも、子どもたちの中には学校に行かれない子どもたちがたくさんいます。そして、学校に行けたとしても、学校を続けられなくてやめなければならない子どもたちがたくさんいます。何キロも、10キロ以上も離れたところから歩いて学校に行かなければならない子どもたちも多く、その子どもたちの多くは空腹のまま歩いてこないと学校に来られなくなってしまうのです。たとえば、アフリカの政府というのは、学校給食のような、子どもたちに十分な栄養を与えるというシステムをもっていません。そういった理由をもとに、子どもたちが学校をやめてしまうということもあります。こういった子どもたちが教育を受ける機会のないまま農村を離れ、都市にやってきて、そしてたくさんの問題にぶち当たるわけです。少数ながら、学校に行ける子どもたちもいますが、もし大学までいけたとしても、そのあと仕事を見つけられるわけではありません。多くのアフリカの政府は、若者の失業率の問題に取り組んではいません。そして、きちんと就業させるということを政府は考えていません。若者たちは自分のチャンスを生かすことなく、自分の人生を無駄にしてしまったり、麻薬に手を出したりという問題が起こっています。貧困問題をなくすということに、すべての人々がコミットメントをもって取り組まなければなりません。

  私が今日ここのみなさんの話を聞いた限りで言いますと、貧困問題というのはどこでも同じで、そして解決策には共通点があると思います。私は日本政府、そしてすべての政府に、それぞれの責任をもち、貧困問題をなくすことに取り組むということを訴えたいと思います。そしてここにいるお母さんたちと子どもたち、障害をおもちの方たち、たくさんの方々の命が救われるためには、大きな改革をしなければいけません。そのためには私たちアフリカからやってきた者と、日本の人たちが協力して、共に貧困問題に取り組んでいくことが必要ではないでしょうか。

  2000年に189か国以上が約束をした「ミレニアム開発目標」というものがありますが、ここで約束したように、世界のひとりひとりのリーダーたちが、コミットメントをもち、貧困問題に取り組んでいくべきです。ミレニアム開発目標には8つのゴールがありますが、その8つ目のゴールというのは、グローバル・パートナーシップ、世界の人々が共に活動することを求めています。そのミレニアム開発目標のもとに立ってみても、新政権が日本の貧困をなくし、そして世界の貧困をなくすことに取り組んでほしいと思います。アリガトウゴザイマシタ。
【日本語通訳:冨田沓子(特活)ハンガー・フリー・ワールド】

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「貧困をなくしたい」。その思いをみんなで表現しよう。

貧困をなくすための世界同時アクションSTAND UP TAKE ACTION。 2015年までに貧困を半減させる国連のミレニアム開発目標にちなんだ「国際反貧困デー」にあわせて、10月16日~18日、世界中の人々が立ち上がりました。わたしたちはヒンキーの人文字を作ってアピールしました。

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反貧困世直し大集会2009 集会宣言

  2009年10月5日、長妻厚生労働大臣は、政府として貧困率の測定をするよう指示を出しました。これまで、日本政府は一貫して「測定は困難」「意味がない」などとして、貧困率の測定を拒んできました。しかし、その壁は、ようやく、打ち砕かれました。

 私たちは昨年10月19日、明治公園に集まり、次のように宣言しました。

  「日本社会に広がる貧困を直視し、貧困の削減目標を立て、それに向けて政策を総動員する政治こそ、私たちは求める」と。

  また「政治は、政策の貧困という自己責任こそ、自覚すべきだ。道路を作るだけでは、人々の暮らしは豊かにはならない」とも言いました。

  そして、去る9月16日、マニフェストで次のように宣言した民主党が中心の新政権が誕生しました。「コンクリートではなく、人間を大事にする政治にしたい」「すべての人が、互いに役に立ち、居場所を見出すことのできる社会をつくりたい」「すべての人が生きがいと働きがいを持てる国を、あなたと民主党でつくり上げようではありませんか」と。

  私たちは、ここに示された理念こそが、最大の政権公約だと考えます。この理念が失われれば、マニフェストに書かれた個々の政策が実現しようとも、そこに“魂”はない。もし、マニフェスト実現のためにその理念が犠牲にされるようなことがあったら、私たちはそれを最大の公約違反とみなし、「すべての人が、互いに役に立ち、居場所を見出すことのできる社会」を作るために、新たな選択を行うでしょう。何のためにマニフェストを実行するのか、その目的と理念こそが重要です。

  私たちは、その目的を達成するために、貧困率の測定と貧困削減目標の定立を求めてきました。なぜなら、経済的な困窮と、人間的な孤立と、精神的な逼迫によって貧困状態に追いつめられた人々は、社会の中に「居場所を見出すこと」ができないからです。どれだけまじめに働いても貧困から抜けられず、モノのように捨てられる人たちは「生きがいと働きがい」が持てないからです。穴だらけのセーフティネットからすべり落ち、制度の谷間に放置される人々は「人間を大事にする政治」を実感できないからです。

  「反貧困」という言葉は、その意味で、新政権の理念を体現しています。貧困問題は、新政権の中心的課題に据えるべきです。貧困問題に正面から立ち向かうこと、それが新政権の最大の政権公約です。

  「反貧困」が問われるのは、国内施策のみならず、外交や国際協力の分野でも同じです。日本の「援助」は、ともすれば、大型インフラ建設等による国内産業への資金還元や途上国への経済進出の道具として使われ、一部では貧困を加速すらしてきました。「援助」政策においても、新政権が「反貧困」に立脚できるかどうか、南の世界の人々が真に貧困から脱却できるような「援助」に変えていけるのかどうかが世界から問われています。

  ちゃんとやるよね!?新政権。この言葉には私たちの、「頼むからこれ以上、政治に失望させないでくれ」という悲痛な願いが込められています。深い失望が深刻な社会の荒廃をもたらす歴史を、私たちは知っています。5年後、10年後に振り返って、「あそこで、私たちは本当の意味で誤ったのだ」と、そう悔やむことはしたくない。私たちは今、たしかに“何か”を賭けています。楽観とシニシズム、不安とあきらめの間に、細い糸を通そうとしている。糸が通る穴があるのか。それはおそらく「ある」のではない。私たちが「開ける」のです。

  生活保護の母子・老齢加算復活、児童扶養手当改正に“魂”が入るのか、抜けるのか。労働者派遣法の抜本的改正に“魂”が入るのか、抜けるのか。

 障害者自立支援法の廃止に“魂”が入るのか、抜けるのか。

 後期高齢者医療制度の廃止し、総合的な新法制定に“魂”が入るのか、抜けるのか。

 貧困率削減目標に“魂”が入るのか、抜けるのか。

 世界の貧困の解消、「人間の安全保障」の実現に“魂”が入るのか、抜けるのか。

 そして、「政権交代」に“魂”が入るのか、あるいは抜けるのか。

――ひとつひとつの課題に“魂”を込めてきた私たちは、それゆえにこそ、その行方を注視せずにはいられない。傍観者ではいられない。

 約半世紀に及ぶ無関心から抜け出して、私たちは今、日本と世界における貧困問題のスタートラインに立とうとしています。そこからの私たちの歩みが、社会の、国の、世界の「形」を決めていく。誰もが人間らしく暮らせる「形」をつくろう。

  主権は、われわれに在る。私たちの希望はいつもここにあり、そしてここにしかない。

  以上、宣言する。

2009年10月17日
「反貧困世直し大集会2009」集会参加者一同

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Yonaoshi gallery


タンガナジェルさんのアフリカの太鼓とダンスで開会。


加藤登紀子さんと一緒に歌いました。


全国から集まった反貧困のみなさん。

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参考資料 貧困率測定についての声明

全文はこちらから

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「派遣法改正 まったなし」10.29日比谷大集会アピール

 我が国の雇用情勢は昨年以降急激に悪化し、依然として派遣切り・雇い止めが止まらない。年末にかけて非正規労働者の失職が加速し、失業率がさらに悪化することも懸念されている。

 こうした中、新政権のもとで、労働者派遣法の抜本改正に向けた論議がはじまった。労働法制の相次ぐ規制緩和がもたらした雇用破壊に歯止めを掛けてほしいという国民の願いが集まっている。

  労働政策審議会の議論の中では、製造業派遣や登録型派遣の原則禁止について、使用者側委員だけでなく、公益委員からも「国内企業の海外展開を促し雇用喪失につながる」とか、「派遣で働きたい人の職業選択の自由を侵害する」などという国民の期待に背を向けた消極意見が出されている。

  これらは、労働現場の実情を顧みない意見であり、これまで積み重ねられてきた労働者派遣法改正の議論をなし崩しに白紙撤回させようとするものであって、到底容認できない。

  現行法は、登録型派遣を認め、製造業現場にまで派遣労働を広げた。専門職とは名ばかりの業務を期間制限からはずして恒常的業務に「派遣」として使い続けることを容認した。その一方で、均等待遇も確保せずに賃金差別を放置し、派遣先企業の違法行為に対しては、罰則はおろか直接雇用さえ義務付けていない。

  派遣先企業の買い叩きによって、派遣労働者の賃金は値崩れを起こし、貯蓄もままならず、失職が即路上生活につながるような貧困と絶望を生んだ。派遣先企業は、労働者派遣契約を安易に中途解除し、雇用主であるはずの派遣会社もこれを易々と受け入れて、派遣労働者を切り捨てる。社宅から追い出し、路上生活に追いやっても恥じるところがない。

  職場では、派遣労働者は「外部」の労働者として仲間とみなされず、弱い立場におかれて、いじめ、セクハラ・パワハラは日常茶飯事である。悪質な性的被害も起きているのに、派遣会社は労働者の訴えに耳を貸さず、派遣先企業に毅然とした態度をとることもない。多くの派遣労働者は泣き寝入りを強制されている。

  派遣労働者の労働災害は、正規労働者よりもはるかに多く発生しており、派遣労働者の生命・身体の安全に対する関心すら希薄だ。

  人を雇うということがこれほどまでに軽視されていいはずがない。

  このような労働者派遣法の構造的欠陥を是正するためには、(1)労働者派遣法を労働者保護を目的とする法律に変えること、(2)みなし雇用規定の創設や違法派遣への罰則導入等の派遣先責任を強化すること、(3)日雇い派遣の全面禁止と登録型派遣、製造業派遣を原則禁止することは急務であり、さらには、均等待遇の義務付け、現行専門業務の見直し、中間搾取率の上限設定など、より踏み込んだ議論も不可欠である。

  労働者派遣法は、労働者の間に身分を設定して、労働者を分断してきた。働く者の連帯を奪い、労働者の間に差別心を植え付けた。労働者派遣法の抜本改正は、貧困の克服と雇用の安定確保にとどまらず、労働者が真に連帯を取り戻すための重要な試金石であり、働くことの尊厳をすべての労働者が取り戻し、誰もが安心して暮らせる社会を築く第一歩である。

  連立政府は、総選挙で示された国民の強い付託に応え、1日も早い労働者派遣法の抜本改正を実現すべきである。

  本日、日比谷野外音楽堂に結集したわたしたちは、すべての労働者、家族、市民と連帯して、労働者派遣法の抜本改正実現を成し遂げるまで全力を尽くす決意である。

2009年10月29日
労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動

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