6/11(月)記者会見報告
- 2012年06月11日
- 投稿者:反貧困ネットワーク
- カテゴリー:その他
生活保護は国家の恩恵と思われやすいが、生存権に基づく制度であり、恩恵ではなく権利として受けられる制度である――反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は、6月11日の記者会見で発言した。厚生労働省記者クラブでは、6月9日に行われた「生活保護“緊急“相談ダイヤル」(主催 生活保護“緊急“相談ダイヤル実行委員会)からの結果報告もあった。
全国6会場に設置された16回線には、合計で363件の相談が寄せられた。ホームレス総合相談ネットワークの後閑一博氏は「受話器を取るたびに『もう死んでしまいたい』という言葉が発せられるような電話相談だった」と語り、政治家の不用意な発言から「つらい」「死んでしまいたい」と思っている人が増えていると報告した。
これに対して宇都宮弁護士は、今後、受給したくても/受給すべきでも受給できない人が増え、札幌や埼玉で起こった孤立死を多発させることになるのではないか、と懸念を表した。
しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子氏からは、母子家庭の女性の不安の声が紹介された。DV被害にあったこの女性は、生活保護だけでは十分でなかったが息子の入学費用も支払った。「うしろめたい気持ちでいっぱい」だと語ったという。「現政権になってから、期待した労働規制も、中間的セーフティーネットも充実していない。働くということもままならず、中間的セーフティーネットもない中で、生活保護に頼らざるを得ない人たちが多くいる」赤石氏は、ひとりのタレントの生活保護騒動から、メディアがこのバッシングに加担するような報道しかしていないことを批判。「このような世の中が許されてはならない」と強く訴えた。
最後に、反貧困ネットワーク代表の宇都宮氏は、「国会で審議するべき政治家の感覚が劣化しているように感じる」と政治家の心無い発言を批判した。
(松元ちえ)