メトロコマース支部非正規差別なくせ裁判の不当判決についての弾劾声明

  • 2017年03月25日
  • 投稿者:反貧困ネットワーク
  • カテゴリー:声明・提言

2017年3月23日
全国一般東京東部労働組合執行委員会
全国一般東京東部労働組合メトロコマース支部

東京メトロ駅売店の非正規労働者でつくる全国一般東京東部労組メトロコマース支部が正社員との賃金差別をなくすために起こした労働契約法20条裁判で本日、東京地裁民事36部(裁判長・吉田徹、裁判官・川淵健司、裁判官・石田明彦)は組合員の請求の大半を棄却し、非正規労働者への差別を容認する不当判決を言い渡した。東部労組とメトロコマース支部は満身の怒りをもって徹底的に弾劾する。

判決は、「企業が長期雇用を前提とした正社員に対する福利厚生を手厚くし、有為な人材の確保・定着を図る」ことは合理性があると判断した。いったい正社員が有為(能力があること、役に立つこと)で、非正規労働者が有為ではないとだれが決めたのか。会社による差別を追認しただけではなく、裁判官諸君の非正規労働者に対する根深い差別と偏見があると言うほかない。

つまりは正社員と非正規労働者はどれだけ長年にわたり同じ仕事をしていたとしても、そもそも制度が違うのだから非正規労働者は劣悪な処遇を甘んじて引き受けろということを言いたいのである。フルタイムで月の手取りが13万円台でも、賞与が正社員の5分の1でも、10年以上働いても1円も退職金が出ないことも、同じように家賃を払っているのに住宅手当が出ないことも、すべてが仕方ないことだと言いたいのである。結局、正社員になれなかった労働者なのだから仕方ないことだと言いたいのである。

裁判所の威信は地に落ちた。この判決からは少しでも差別をなくして非正規労働者の尊厳を守っていこうという理想や、低賃金による生活苦を放置してはならないという使命をみじんも感じない。自分が利益をあげるためには非正規労働者の生活など知ったことではないという経営者と身も心も同じレベルに堕している。

「およそ人はその労働に対し等しく報われなければならない」として、非正規労働者への賃金差別を公序良俗違反で一定是正した丸子警報器事件の判決(1996年長野地裁上田支部)から20年以上になるが、本日の判決は歴史の針を大きく逆回転させるものだ。有期雇用であることによる不合理な労働条件を禁止した労働契約法20条ができたことも、同一労働同一賃金を求める声が社会的に高まっていることも無視している。

この判決でもっとも許しがたい点は、永年勤続や定年退職時に3~15万円の金銭、感謝状、記念品などが褒賞(ほうしょう)制度として正社員に与えられていることについても非正規労働者には与えなくても構わないと判断したことだ。同じ売店で同じように働いていた労働者を、非正規労働者というだけで感謝状すら贈らなくても良いというのだ。非正規労働者を馬鹿にするのもいい加減にしろ!

徹頭徹尾、経営者の意向に寄り添った恥知らずな判決であり、全国2000万人の非正規労働者を奈落に落とす冷酷な判決であり、事実を事実として認識できていない欠陥判決である。

それにもかかわらず、非正規労働者への差別は廃止されるだろう。

東部労組とメトロコマース支部はただちに控訴し、非正規労働者への差別をなくすための運動をいっそう拡大していく考えだ。そして、この運動に全国の非正規労働者が加わり、すべての労働者と団結し、自らの生活と権利を守るために立ち上がることは間違いない。抑圧や差別があるところ反抗があるからだ。それは世界の歴史が証明している。

正義を求める声を押しとどめることはできない。本日の判決を書いた裁判官諸君が後悔する時が必ず来る。東部労組とメトロコマース支部は一日も早くその時が来るよう全力で闘う決意である。ともに闘おう!

以 上

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