「2016年国民生活基礎調査の結果に基づく相対的貧困率」に関しての意見表明
- 2017年06月29日
- 投稿者:反貧困ネットワーク
- カテゴリー:声明・提言
全体の貧困率の改善は一定望ましい
ひとり親家庭の貧困率が依然高いことに危惧
貧困をなくす一層の努力を
2017年6月29日
反貧困ネットワーク(代表世話人 宇都宮健児)
6月27日、厚生労働省は2016年国民生活基礎調査の結果に基づく相対的貧困率を発表した。
日本の相対的貧困率は前回(2013年)調査よりもよりも0.5ポイント減少し15.6%となった。さらに子どもの貧困率は13.9%と2.4%改善した。またひとり親家庭の貧困率については下がりはしたものの、以前として50%を超え50.8%となっている。
前回調査よりも改善したことについての要因は詳細な分析を待ちたいが、この傾向が続くのが望ましい。しかし全体の貧困率も、また子どもの貧困率も先進国中では下位にあり、以前として厳しいことは言わなければならない。また2015年の総人口に15.6%をかけると、1982万人となり、これだけの大量の人たちが貧困状態にあるということだ。子どもの貧困率が改善したとはいえ、主要先進国36カ国中24位である
その中でひとり親家庭の貧困率がいまだに50%を超えていることは、深刻な問題だ。母子世帯のうち生活が苦しいと答えている割合は実に82.7%である。全体の改善の中で、ひとり親家庭の状況の変化がわずかなのはなぜなのか。その構造的な問題を考える必要がある。
政府は、2013年成立した「子どもの貧困対策法」に基づき、様々な施策を実施している。思い切って、ひとり親家庭に絞った現金給付の拡充を検討することも考えるべきではないか。生活保護規準検討の中で、母子加算の廃止の意見もあるようだが、それが可能な状況ではない。
同時に非正規で働く人々の稼働所得を上げるには、より大幅な最低賃金の引き上げなど検討すべきだ。
貧困とはただお金がないことだけを意味するのではない。社会的孤立、健康状態の悪化、自死の増加、憎悪と分断の拡大、社会の不安定化など日本社会の衰退を招く。
われわれは、こうした貧困問題の解決をめざし、政府をはじめすべての人々が貧困問題の解決に力を尽くすことを求める。